相続税と贈与税を徹底比較!生前贈与のメリットは?最も有効な節税対策とは?
生前贈与という言葉をご存知ですか?
相続税がかかるなら生前にすべての財産を贈与しておけばいいのではないか。
しかしそれには贈与税がかかる。
しかも相続税より贈与税の方が割高のようです。
では生前贈与を選択する人はどうしてその選択をしているのでしょうか。
贈与税と相続税を徹底比較し、どのように使い分ければ1番税金を節約できるのか解説します。
相続税とは
まず相続には3つの選択肢があります。
①全額相続する ②一部を限定的に相続する ③相続放棄
②③の場合は相続が開始した日から3ヶ月以内に申請をする必要があります。
相続は亡くなった瞬間から開始します。
相続の順位はまず亡くなった方の配偶者は無条件で法定相続人となります。
次に子・孫です。その次が亡くなった方の親、そして最後に亡くなった方の兄弟姉妹・姪・甥などに回っていきます。
ただし遺言に記載されている内容が最優先事項です。
相続割合は次のようになります。
法定相続人 | 法定相続分 | 法定相続分 |
配偶者と子 | 配偶者1/2 | 子1/2 |
配偶者と父母 | 配偶者2/3 | 父母1/3 |
配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4 | 兄弟姉妹1/4 |
つまり先程の法定相続人の順位として、第一位である配偶者と子・孫は1/2ずつ。
第二位の父母は1/3をシェア、第三位の兄弟姉妹は1/4をシェアということになります。
相続税の税率
取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ― |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
日本の相続税の税率は所得税と同様累進課税となっています。
相続額が6億を超えると、半額以上が相続税として持っていかれてしまうのです。
相続税の対象金額の計算方法
まず相続税には基礎控除額というものがあります。
基礎控除額とは3000万円+600万円×法定相続人数です。
その額は遺産総額から控除され、それを引いた額が相続税の課税対象になります。
つまり相続人の人数が多ければ多いほど相続税の税額は少なくなるということです。
養子縁組をして子供の人数を増やすという節税方法が考えられますが、養子縁組だと税金控除対象の人数に制限があります。
亡くなった人に実子がいる場合、養子として数えられる子供の人数は1人で、実子がいない場合の養子として数えられる子供の数は2人までです。
配偶者特別控除
先程相続税の基礎控除が3000万円+法定相続人数×600万円という話をしました。
これはそもそもの遺産相続額から誰であっても控除されるのですが、配偶者の場合特別控除が認められます。
配偶者の相続分が1億6000万円以下か法定相続分だった場合相続税がかかりません。
例えば相続人が配偶者と子だった場合
遺産額≦1億6,000万円の場合、配偶者のみを法定代理人としてこの特例を適用することができます。
次に1億6000万円≦遺産額≦3億2000万円だった場合配偶者が1億6000万円の遺産を相続すれば、配偶者の分の相続税はかかりません。
そして3億2000万円≦遺産額だった場合は法定相続分である2分の1の額を配偶者は相続し、相続税は一切かかりません。
つまり相続税に関しては配偶者であれば考える必要がないということです。
これで遺産目当ての結婚というのが存在する理由は明白ですね。
相続額が2億円だった場合、それを配偶者と子の二人が相続する時、法定相続分で考えると配偶者1億円、子一億円となります。
しかしこの配偶者特例を適用すると、遺言によって配偶者が1億6000万円、子が4000万円にしたほうが相続税の節税対策にはなるということです。
もちろん配偶者から後々子に財産を譲ろうとすると贈与税がかかってきますが。
その他の相続税の控除
対象 | 軽減額 | |
未成年控除 | 20歳未満の法定相続人 | 10万円×(20歳-相続開始時の年齢) |
障害者控除 | 心身に障害のある85歳未満の法定相続人 | 10万円×(85歳-相続開始時の年齢) |
相次相続控除 | 10年以内に2度以上相続があった場合 | 前回の相続の時に払った相続税の一部 |
在外財産に対する控除 | 財産が海外にあって海外の法律により海外の税がかかる場合 | 外国で払った税金 |
親が亡くなった時に、未成年控除の軽減額が10万円というのは少し低いような気がします。
15歳で亡くなった時に控除される額が50万円というのは気休めな感じもしますね。
また相次相続控除の規定があるのは、もし父親が亡くなった時に遺産を子が相続しその相続税を払った場合、母も父と年齢が近く、10年以内に亡くなってしまうという可能性があるからです。
その時、子は10年以内に二重で相続税を払わなければならないことになるため、このような規定が設けられています。
贈与税とは
相続税がかかるのなら亡くなる前に贈与しておけば良いのではないかという疑問が出てきますが、その場合にかかるのが贈与税です。
そして贈与税は相続税よりも割高です。
まず相続開始前3年以内に贈与がなされていた場合、その金額は相続税の計算に含めることになります。
そのため相続税の額から贈与税が控除されるということです。
そもそも贈与は贈与する側とされる側の合意がなければ成立しません。
両者の関係性(親子なのかどうかなど)によって税率も変わってきます。
贈与税の計算方法
贈与の額は1年間に贈与された財産の評価額で税率が決まってきます。
まず基礎控除額が一律110万円です。
贈与総額から110万円を引いた額が贈与税率を掛ける対象額になります。
特例税率(父母・祖父母などから20歳以上の子や孫への贈与)の場合
課税金額 | 税率 | 控除額の相場 |
200万円以下 | 10% | ― |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
それ以外の人への贈与の場合、税率は変わりませんが控除額が全体的に上記の額より低くなります。
つまり年間110万円以下を子供に贈与し続ければ贈与税の基礎控除額を超えない範囲なので贈与税から逃れることができるということです。
生前贈与のメリットはここにあったのですね。
贈与税控除
まず1つ目に結婚後20年以上が経過している配偶者への贈与は2,000万円まで利用することができます。
ただしその対象の財産はマイホームやそれを買う資金である必要があります。
次に子への教育資金・結婚資金・子育て資金です。
教育資金の場合は1,500万円まで、結婚・子育て資金の場合は1,000万円まで控除されます。
事業承継の際に注目すべき税金問題
自社株を後継者に譲る場合、贈与・売却・相続という3つの選択肢があります。
贈与か相続を選んだ場合はもちろん後継者側に贈与税・相続税がかかってきます。
では売却した場合、売却する側に譲渡所得・後継者側がもし売却価格より著しく低い価格で購入した場合に贈与税がかかってきます。※株式譲渡所得には所得税15.315%と住民税5%がかかる。
自社株の売却価格に関しては大会社・中会社・小会社によって類似業種比重価格などの評価基準があります。
編集後記
私は就活時代に証券会社のインターンに参加したことがありました。
その時に会社を子の代に承継するとなった時に、家族内であっても金銭や不動産を受け渡す際に何10%もの贈与税がかかることを知って驚きました。
2億が1億になることもあります。
ではなぜ贈与税や相続税って必要なのでしょう。
それは莫大なお金が動く時、そこには様々なルール違反の抜け道があるからです。
上記に記載したように、贈与では控除額として認められる範囲が広かったと思います。
だから生前に控除対象から外れない範囲で贈与をし、終活を始める人が増えてきているのです。
相続税、贈与税の控除のボーダーをきちんと理解し、自分の大切な人にお金を効率よく残せる方法は何なのか、この機会に是非検討してみてください。
投稿者プロフィール
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美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。
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