【投資信託】における償還とは? 繰上償還になるとどうなるか【強制損切り】
投資信託を買う際に目論見書を読んでいると、『償還期限』というものを目にします。
『償還』という言葉から、預けたお金が返ってくることだと考えられますが、投資信託における償還とは一体どんなシステムなのでしょうか。
『償還期限って何?』『信託期間が長い、もしくは無期限の投資信託を選ぶべきなの?』
このような疑問を解決するために、今回は投資信託における償還について解説していきます。
償還とは?
投資信託における『償還』とは、投資信託の運用期間が終わり、投資家の投資口数に応じた償還金が自動的に返還されることをいい、その期日を『償還期限』といいます。
投資信託には、投資の運用がスタートする『設定日』から運用が終了する日である『償還日』までを指す『信託期間』が設定されています。
信託期間は、投資信託を購入する際に確認する目論見書に記載されています。
ただし、日経平均や米S&P500などの主要な指数に連動するインデックスファンドには信託期間が『無期限』と設定されているものがあります。
一般的に投資信託の信託期間は10年に設定されているものが多いです。
信託期間が10年より短いものには以下のようなファンド例があります。
ファンド名称 | 信託期間 | 信託年数 |
楽天日本株3.8倍ベア | 2022年6月14日まで(2019年12月20日設定) | 2年半 |
NASDAQ100 3倍ブル NASDAQ100 3倍ベア | 2023年10月20日まで(2020年10月23日当初設定) | 3年 |
テーマレバレッジ EV2倍 | 2026年3月27日まで(2021年4月12日当初設定) | 5年 |
このようにレバレッジが大きいファンドや、テーマ型ファンドなどの一部は、信託期間が短めに設定されています。
信託期間が終わり、償還日を過ぎるとその時点での投資口数に応じたお金が返ってきます。
償還日の評価額が元本を下回っている状況においては、信託期間が終了すると同時に損失が確定してしまいます。
信託期間は基本的に延長されるもの
償還期限が過ぎてそのまま期間の予定通りに運用が終了することを『満期償還』といいます。
しかし前提として運用成績が良かったり、今後の成長が見込まれており投資家からの需要が高いファンドは信託期間が延長されていくものです。
信託期間の延長は、ファンドの運営会社の公式ページから『投資信託約款変更のお知らせ』として通知されます。
延長決定のタイミングは運用会社やファンドによって微妙に異なるものの、予め設定されていた償還日の約1年前に約款変更が行われることが多いようです。
償還期限の延長によって信託期間が短い投資信託であっても、運用成績が良ければ償還期限が延期され、結果的に長く保有しておける場合があるというわけです。
信託期間が延長することで、更なる利益の上昇や損失の回復をできる可能性があります。
償還期限が無制限のものが良いとは限らない
一方で信託期間が無制限の投資信託を選べば必ずしも償還期限が来ることなく任意のタイミングで手放せるというわけではありません。
投資信託の目論見書には、『繰上償還』の条件が明記されています。
繰上償還とは、あらかじめ信託約款に定められた規定に基づいて信託期間の途中で(期間が無期限の場合でも)運用を中止し、その時点でファンドの保有者が持つ口数に応じてお金を返還されることです。
つまり、たとえ信託期間が無期限の投資信託であっても運用が終了する可能性があるのです。
繰上償還は以下のような条件で行われます。
条件①:純資産総額が一定の水準を下回った場合 (受益権の口数が○○億口を下る場合)
ファンドの資産が一定の額を下回ると、資産の成長のために必要な運用を行うことができず、繰上償還されます。
純資産総額が少なくなる要因の一つとしてファンド受益者(投資家)の換金が多くなることがあります。
特に、近年のインデックスファンドは信託報酬料の引き下げ競争が激化しているため、純資産総額が少ないと手数料による集金が足りず、運用会社が利益を確保することが困難になり、繰上償還されやすい危険性があります。
条件②:連動させる対象のインデックスが改廃される場合
インデックスファンドの場合、対象のインデックスそのものが廃止されたり改変されたりすると、ファンドの目的である、インデックスに沿った運用ができなくなります。
条件③:利益の低下により、運営会社が信託契約を解約せざるを得ないと判断したとき
市場環境の変化などによって安定した収益の確保を行うことが難しくなると、その投資信託の商品性を維持することが困難と運用会社が判断し、繰上償還が行われる場合があります。
条件④:ファンドの基準価額が『投資方針』に定められている水準を超えた場合
ファンドによっては、予め基準価額が一定の水準に達した場合に利益を確保するために現金化して償還すると決められているものも存在します。
このように、条件④以外では基本的に収益を見込めない場合において償還の判断がされるため、繰上償還は事実上『強制的に損切りさせられる』という状態なのです。
繰上償還の存在があることから、単純に信託期間が無期限の投資信託を買えば良いというわけではないのです。
償還期間よりもファンドの成績や分野に着目しよう
今回は、投資信託における償還期間についてご紹介してきました。
信託期間が短いファンドでも運用成績が良ければ延長されますし、逆に信託期間が無期限でも繰上償還により終了してしまうファンドもあります。
このことから結論として、償還期間の長さで購入するファンドを検討する必要はないと言えます。
信託期間ではなく、ファンドの過去の運用実績や投資先の将来性を吟味することのほうが重要であり、優れたファンドは繰上償還になるリスクが低いです。
また、なるべく純資産総額が高いファンドを選べば償還のリスクは低くなりますが、純資産総額が高ければ高いほど良いというわけではありません。
純資産総額についての詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。
投稿者プロフィール
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美容が好きな20代。貯金は美容にかけていることが多いです。
インコのザシアンと一緒に暮らしています。
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